「自律神経失調症ってどんな病気?」 |
病院で検査しても異常がみつからないのに、動悸やめまい、頭痛、下痢、憂鬱感などのツライ症状が治らない・・・それは自律神経のメカニズムに関係があるかもしれません。
「自律神経失調症」の症状や特徴について「まずは概要をザックリとつかみたいんだ!」
そんなときに読んでください。
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どんな病気なの?
●自律神経って?
自律神経とは、心臓を動かしたり汗をかいたり、自分ではコントロールできない自動的に働く神経のこと。
自律神経は活動する神経といわれる『交感神経』と、休む神経といわれる『副交感神経』の二つに分類され、必要に応じて自動的に切りかわって働くようになっています。
眠れない、めまいがする・・・など様々な症状が自律神経の働きに関係しています。
・ 精神の調整
悲しいと涙が出る、驚くと心臓がドキドキするなど、精神的な変化から身体の反応としてあらわす働き
・神経の調整
外部の気温が上がっても体温が一定に保たれるなど、外部から刺激を受けても身体を一定の状態に調整する(=ホメオスタシス)
・内分泌の調整
ホルモン分泌とも密接に関係。女性に自律神経失調症が多くみられるのは排卵・月経・妊娠・更年期等の性周期がホルモンと深く関係しているため
・免疫の調整
体内に細菌やウイルスが侵入すると抵抗力をつけたり、発熱した場合に熱を下げようするなど、病気の予防や治癒のための働き
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●自律神経失調症とは?
不規則な生活や習慣などにより、身体を働かせる自律神経のバランスが乱れるためにおこる様々な身体の不調のことです。
内臓や器官の病変によるものではないので病院で検査をしても「異常なし」。
『自律神経失調症』の症状としては、体の一部が痛くなったり具合が悪くなったり精神的に落ち込んだり・・と人によって様々で、いくつか重なって症状があらわれたり症状が出たり消えたりする場合もあります。
自律神経系の様々な種類の自覚症状なので症状のあらわれ方が非常に不安定なためです。
また、遺伝体質、性格、ストレスの感受性により症状の出方も様々であると言われ、治療は心身両面から柔軟に行うことが必要です。
定義や概念については多くの考え方があり、また正式な病名ではありません。自覚症状があるのに検査をしても異常がみつからないときに自律神経失調症と診断されることが多く、本来であれば別の病名がつくはずのものを安易に自律神経失調症と診断づけるケースも残念ながら少なくないようです。
なんでも自律神経失調症・・・で片付けてしまうと、癌のような重大な病気を見逃すことにもなりかねないので、患者本人や周囲の人はこの点も十分に留意しましょう。
自律神経失調症の症状
頭 |
頭痛、頭重感 |
耳 |
耳鳴り、耳の閉塞感 |
口 |
口の乾き、口中の痛み、味覚異常 |
目 |
疲れ目、なみだ目、目が開かない、目の乾き |
のど |
のどの異物感、のどの圧迫感、のどのイガイガ感、のどがつまる |
心臓・血管系 |
動悸、胸部圧迫感、めまい、立ちくらみ、のぼせ、冷え、血圧の変動 |
呼吸器 |
息苦しい、息がつまる、息ができない、酸欠感、息切れ
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消化器 |
食道のつかえ、異物感、吐き気、腹部膨満感、下腹部の張り、腹鳴、胃の不快感、便秘、下痢、ガスがたまる |
手 |
手のしびれ、手の痛み、手の冷え |
足 |
足のしびれ、足のひえ、足の痛み、足がふらつく |
皮膚 |
多汗、汗が出ない、冷や汗、皮膚の乾燥、皮膚のかゆみ |
泌尿器 |
頻尿、尿が出にくい、残尿管 |
生殖器 |
インポテンツ、早漏、射精不能、生理不順、外陰部のかゆみ |
筋肉・関節 |
肩こり、筋肉の痛み、関節のいたみ、関節のだるさ、力が入らない |
全身症状 |
倦怠感、疲れやすい、めまい、微熱、フラフラする、ほてり、食欲がない、眠れない、すぐ目が覚める、起きるのがつらい |
精神症状 |
不安になる、恐怖心におそわれる、イライラする、落ち込む、怒りっぽくなる、集中力がない、やる気がでない、ささいなことが気になる、記憶力や注意力が低下する、すぐ悲しくなる
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自律神経失調症と関係の深い病気
症状が特定の部位に強くあらわれた場合は別の病名がつけられることもあります。以下のような病気は自律神経失調症の一種もしくは仲間ともいえます。
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循環器系 |
心臓神経症、不整脈、起立失調症候群、起立性調節障害
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呼吸器系 |
過呼吸症候群、気管支ぜんそく、 |
消化器系 |
過敏性大腸症候群、胆道ジスキネジー、神経症嘔吐症、反復性臍疝痛、神経性下痢 |
神経系 |
偏頭痛、緊張性頭痛 |
耳鼻科 |
めまい、メニエール病、乗り物酔い、咽喉頭異常感症 |
口腔外科 |
口内異常感症、舌痛症、顎関節症 |
皮膚科 |
円形脱毛症、発汗異常、慢性じんましん |
泌尿器系 |
膀胱神経症、夜尿症、心因性排尿障害 |
婦人科 |
更年期障害 |
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●自律神経失調症の原因
症状が一人一人違うように、その原因もまた一人一人違います。
自律神経のバランスが乱れるのには、いろいろな原因が複雑にからみあっていると言われています。
・ 生活のリズムの乱れ
夜更かし、夜型人間、夜間勤務や、子供の頃からの不規則な生活習慣など、人体のリズムを無視した社会環境やライフスタイル
・ 過度なストレス
仕事などの社会的ストレス、人間関係、精神的ストレス、環境の変化など、過剰なストレス
・ ストレスに弱い体質
子供の頃からすぐ吐く、下痢しやすい、自家中毒、環境がかわると眠れないなど、生まれつき自律神経が過敏な人もいる。また思春期や更年期、身体が弱っているときは自律神経のバランスが乱れやすい
・ ストレスに弱い性格
ノーと言えない、感情処理が下手、気持ちの切り替えができない、人の評価を気にしすぎる、人と信頼関係を結ぶのが苦手、依存心が強いなど、ストレスへの抵抗力が弱い傾向のある人もいる
・ 環境の変化
現代の生活は適応能力が衰えやすく、社会環境の変化、人間関係や仕事などの環境の変化などへの不適応や過剰適応が増えていると思われる
・ 女性ホルモンの影響 >コラム:女性ホルモンとの関係
女性は一生を通じてホルモンのリズムが変化しつづけ、この変化が自律神経の働きに影響を与える
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●自律神経失調症の4つのタイプ
◇本態性型自律神経失調症
要因:生まれつき自律神経の働きが乱れやすい
特長など:低血圧、虚弱体質、体力に自信がない人に多い
◇神経症型自律神経失調症
要因:心理的なことから
特徴など:自分の身体の不調に敏感な人がなりやすい
身体的な不調が多くみられる場合に神経症ではなく自律神経失調症と診断される
◇心身症型自律神経失調症
要因:感情や疲労などの日常生活のストレスを無理に抑えること
特徴など:約半数がこのタイプ。あらわれる症状やその重さが様々
◇抑うつ型自律神経失調症
要因:ストレスの慢性的な蓄積などによるうつ反応
特徴など:抑うつ気分が身体の症状に隠れて発見されないと『うつ』に対する適切な治療が行われないことになる
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●自律神経失調症の治療方法
症状・タイプなどにより、身体と心の両面に働きかける治療、生活環境を整えるなどのことを行う必要があります。体質・性格・ライフスタイルの歪みにも注目して見直し改善することが必要でしょう。
・ 自律訓練法などによるセルフコントロール
・ 薬物療法
・ カウンセリングなどの心理療法
・ 指圧やマッサージ、整体、鍼灸、ストレッチなどの理学療法
・ 音楽療法やアロマテラピーなど五感に働きかける治療法
・ 自己管理によるライフスタイルの見直し
生活のリズム、食事、睡眠、運動、心にゆとりを持つ、ストレス耐性の強化、感情処理・・・など
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(書籍・サイトなどの資料を参考に一般的な自律神経失調症の知識をまとめたものです :参考文献)
【原因】
原因としては、ストレスその他様々なものが関連していると思いますが、私は姿勢の悪さなどの身体の構造の問題が関係していると考えてえています。
身体の構造が傾いてしまうと、骨格のバランスででうまく身体を支えられないために筋肉を緊張させて補おうとします。その慢性的な筋緊張があるために、休息すべき時にも筋肉の活動スイッチが切れないので、休息と活動の自律神経の入れ替わりがうまくいかなくなってしまうのです。
また、慢性的な筋緊張および派生するコリや痛みは一種のストレスでもあります。
姿勢や骨格のゆがみといった構造的な問題が自律神経にも影響を与え、結果として自律神経失調症を引き起こしてしまう、あるいはストレスの一因として発症を誘発してしまうと考えます。
【治療方法】
そのようなケースにおいては、原因としての「身体の構造の問題」を改善する必要があります。
「身体の構造のバランスをとる」ことによって、骨格に上手く体重をのせて支えられるようになれば、筋肉の慢性的な緊張は不要になり、体調も回復することができます。
その他の原因が関連している場合でも、ストレスの一因としての身体の構造の問題を解決することは有効な治療方法であり、また全体としてコンディションが良くなることでの症状の軽快が期待できます。
※構造が自律神経に影響を与えるメカニズムについては
>コラム:身体の構造と自律神経
>治効理論
をご参照ください。
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