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東洋医学って何?<その3>
〜東洋医学の健康観・医療観(2)〜
「東洋医学における健康観・医療観」の二回目です。
■東洋医学のアプローチ
西洋医学では、身体の部品に細菌がついて腫瘍ができたり外からの損傷などにより異常がおこると病気になると考えます。そうした異常がおきたら取り除けばよい、というアプローチです。
その考え方のもとに解剖学の発達や病原体の発見やそれを狙い撃ちする薬、診断技術や手術の技術などを発展させ、外傷の治療や救急医療行為など複雑化した社会のニーズに応え多くの命を救ってきました。
しかしそもそも近代西洋医学のアプローチだと「健康を守り病気を未然に防ぐ」ことは難しく、不得意な分野といえます。生活習慣病といわれる慢性の病気の多くは複数の原因が重なっておこるため原因が特定しにくく、また人によっても原因が異なるので万人に共通した治療薬での治療が難しいのです。
東洋医学では病気になるのは、まずはバランスを崩してしまった身体の状態があるから、と考えます。
例えば新型のインフルエンザが流行っても全ての人がかかるわけではなく、たまたま身体の状態の良くない人がインフルエンザにかかり、抵抗力のある健康な人はかからないわけです。
バランスを崩しているとバリア(防御機能)が弱まりウィルスなどが体内に入ったりストレスに負けて病気になる、だから病気になる前に身体の状態を良くして免疫力を高めておく、というのが東洋医学のアプローチです。
「身体のバランスの回復」が治療の基本であり、まさに「未病」をいち早く発見して治療し病気を未然に防ぐことを医療の究極の目標としているのです。
西洋医学
細菌やウィルス、腫瘍など異常が発生→取り除く
◎危急の事態に対応、対症療法に優れる
東洋医学
バランスを崩した状態だとバリアが弱まり病気になる→体の状態を良くしておく
◎未病を防ぐ、病気の根本原因・体質の治療 |
■患者を観察する科学の目は医療の基本
東洋医学の治療は、まずは病人をよく観察することから始まります。
昔は脳の中など勿論のこと血液検査もできなかったわけですから、身体の表面に現れている状態をよく観察して身体の変化をとらえようとしたのです。その積み重ねから人間の体質や状態、経絡(※)などの各器官が連動する関係といった身体や治癒の仕組みの体系を作りあげたのですから、その観察の手段は非常に優れていたと言えるでしょう。
日々の状態をよく観察し変化を敏感にとらえ隠れた問題点をみつけて適切な対応をとる・・・これは何も東洋医学に限ったことではなく、世界のあらゆる医療の基本的な姿勢だと思います。
しかし、そうしたやり方が現在必ずしも大切にされていないとするなら伝統医学に学ぶことも必要でしょう。
「かかりつけ医」にそういった役割が期待されると思いますが、それが脈もとらずろくに顔色も見ない「データを見て人を見ない」医師であってほしくはありませんよね。
画像診断や血液検査、脳の中まで見られる現代の診断技術はすばらしいものですが、検査データは万能ではありませんし便宜上の基準数値などはかわることもあります。
患者をよく観察する姿勢はどんな医療にも共通した基本の姿勢なのです。
※ 経絡
いわゆる「ツボ」といわれるものが経穴で、経穴と内臓・器官などを結ぶ道路網のようなものを経絡という。鍼や灸で経穴や経絡を刺激しすることで経絡を通じてつながっている内臓や器官の悪いところを治療することができる。古来、特定の部位を刺激すると痛みが治ったり症状が改善することから発見され、東洋医学の基本理論である陰陽五行説で統合整理され洗練された体系となった。 |
■東洋医学は魔法ではない
このように、東洋医学は科学の目による観察から生まれた独自の治効理論を持つ伝統医学です。
けっしておまじないや魔法のようなものではありません。
その有効性が科学的に明らかにされつつあり、「未病」「免疫力」といった言葉が一般に理解されるようになった現在では、その治癒の仕組みや有効性が社会的に認知される下地は整いつつあります。
今、東洋医学の従事者には、医療を行うものとしての自覚・プライドをもって病状や治療について患者に理路整然と説明できること、臨床に携わるものの視点でその解釈を患者に伝えられること、が求められていると思います。
そして神秘的なだけのイメージから脱却し信頼にたる医学として妥当な評価と認知を得ることを期待したいと思います。
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