●顎関節症の原因
■噛み合わせだけが原因ではない
かつては顎関節症の原因は噛み合わせの異常にあると言われていましたが、現在では顎関節症の原因となる因子はいくつかあり、それらが積み重なってある耐久限界を超えたときに発症する・・・と言われています。
但しなりにくい人なりやすい人がいて耐久限界にも個人差がありますので、くいしばりや歯ぎしり偏咀嚼などの生活習慣の中の要因の積み重ねが“その人の”耐久限界を超えたときに発症する、ということになるでしょうか。
■顎関節症の様々な原因
1)ブラキシズム
「くいしばり」「歯ぎしり」「歯をカチカチならす」などのことをブラキシズムといい、筋肉を緊張させて顎関節に過度の負担をかけダメージを与える。最も大きな原因と言われてます。
くいしばり・・・肉体労働や仕事などに集中しているとき無意識に行っている。就寝中にも起こる。
歯ぎしり・・・音のしない歯ぎしりもある
2)ストレス
仕事や家庭、人間関係などのストレス、その他精神的な緊張は、筋肉を緊張させてくいしばりを起したり夜間の歯ぎしりを起したりと、ブラキシズムに影響します。
3)偏咀嚼
左右どちらか一方でばかり噛む癖を偏咀嚼といい、片側だけに多くの負担をかけることになり、発症の原因になります。
4)顎や筋肉に負担をかける癖や習慣
うつ伏せ寝、頬杖をつく癖、あごの下に電話をはさむ、猫背の姿勢など
5)悪い噛み合わせ
噛みあわせについては様々論議があり、現在では多くの原因の中の一つと考えられ、偏咀嚼やブラキシズムの原因として関連していると言われています。
(不良な歯列矯正や歯科治療により噛みあわせの悪さを招くこともある)
6)その他
歯の治療などで大きく口を開けた、顎や頸部頭などを強く打って顎関節や靱帯を損傷した など
◇顎関節症を誘発するきっかけは色々 |
日常の様々なことがきっかけとなって顎関節症を誘発します。
○何かに熱中したり緊張して強く食いしばる
・会社で導入したてのパソコンを覚えようと熱中して
・長い会議のあった日は夕方から口が開けづらくなる
・休日に一日テニスをしたあとは顎がカクカク鳴る
・何か特別な行事があると緊張して食いしばる
○オフィスの冷房がキツクて歯を食いしばる
○仕事で悪い姿勢を長時間続けていた
○仕事のストレスで夜よく眠れない
○片側の歯が悪いため反対の歯だけで食べ物を噛む癖がある など
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■現代人は顎が弱くなっている?
同じ顎関節症の原因となる生活習慣を行っていても顎関節症になりやすい人となりにくい人がいます。
また近年に顎関節症は増加しており、それも若い女性など若年層に増えています。
これには最近の柔らかい食べ物の多い食生活から「噛む力」が弱くなっていることが関係しているのではないかと言われています。
伝統的な日本食に比べ、ハンバーグやスパゲティといった現代人の好む食事は噛む力も噛む回数も少なくてすむので、顎が運動不足になり筋肉が衰えてしまっていることが考えられます。
そのため顎関節の動きをしっかり支えられることができず、顎関節症を発症しやすい素地を作ってしまっている、というわけです。
顎の衰えは顎だけの問題にはとどまりません。顎の運動不足では脳への血流量も少なくなり集中力も落ち、顎が弱いときちんと噛みしめることができないので力が出ないし平衡感覚も低下、身体能力に大きく影響するのです。
また子供の頃からこういった生活習慣を続けるということは骨格や筋肉の発達にも影響があると思われます。
顎を衰えさせないよう生活習慣を見直すことこそが必要なのかもしれません。
◇子供の顎関節症◇ |
子供が顎関節症を訴えるケースも増えています。
原因は大人と同様ですが、学校生活、受験勉強、友人関係、親子関係など、最近では子供も大人さながらにストレスを受けているということにも関係があるのではないかと言われています。
顎の形態の変化や発達の問題もやはり背景となっていると思われ、子供のひどい虫歯は減ってきているそうですが噛みあわせの異常で歯科を訪れる子供は増えているという話も聞きます。
例えば母乳で育った子供には悪い噛みあわせが少なく顎関節症の発症率が低いという説も。母乳を飲むためにはある程度強く吸う必要があるので顎や筋肉の発達によいのではないか、ということだそうです。
また悪い姿勢が顎関節症の原因になることもあります。外遊びの機会が減り基礎体力の落ちた姿勢の悪い子供が増えてきていることはとても気になるところです。
成長期にある子供にこそ、顎をしっかり使う食事で顎を鍛える、適度な運動を行い姿勢を正しくする、規則正しい生活をして過度なストレスにさらさない、といった基本的なことに注意してあげたいものです。
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