知っておこう! 関節リウマチ 東洋医学とカイロプラクティック アゼガミ治療室
日本東洋医学会発表内容
〔緒言〕 開業鍼灸師として様々な疾患の治療に当たる中で、経絡が人体の2足起立を保持コントロールする構造力学に基づいた流れであることを切に実感し、経絡の偏りを修正することが、人体の構造を安定させることであるとの仮説に至りました。この仮説に至る過程として次のような考察が存在します。臨床現場において現状として患者の回復を期待し様々な方法で治療が行われています。主な物理的方法論として針灸・徒手矯正(カイロプラクティック・オステオパシー)・運動療法等が存在しますが、周知の事実として、そのそれぞれに多くの成功例が報告されています。 そこで仮に正常な状態をAとし、病的な異常な状態をBとします。様々な方法で治療が行われ成功した場合、患者は本来あるべきAの状態に復帰したと考えることが論理的に適当であります。 臨床上の考察によりAの状態を筋骨格系構造の生理的状態と理解し上記の仮説に至りました。 以上の仮説に基づき、筋骨格系構造力学的問題と、RAの病態の相関性を検討しました。あくまで筆者の経験からの仮説でありますが、RA患者には、発症以前から、主に乳児期の匍匐状態から立位移行期に発生したと思われる、著しい構造的問題が存在します。(例えて言えば、建築物が建築当初より歪んでおり、どの窓・扉も開閉にあたり軋轢が生じている状態)そして、その後の偏った生活習慣による物理的負荷が加わり他の要因と相俟って発症に至たると推測されます. 筆者の見解としては、RAはOAと同様の要因を持ち、RAの一部はOAの延長線上に存在するとの見解であります。現在RAとOAが異なる病因であるとされる象徴的な病状としてRAにおいての初期からの上肢における疼痛及び変形があります.非荷重関節である上肢に症状が現れることで、腰椎や膝関節等の荷重関節において頻繁に発生するOAと別要因であると理解されやすいのは当然であります.しかし人類は2足起立をしている関係上、例えば腰椎・仙骨・骨盤・股関節のアライメントに問題をきたし、腰部の重心が足部に対し後方に変位した場合、後方転倒を回避する為、上肢等を前方に移動し固定します.片側の上肢でも切断すると3kg前後の質量がありそれを前方位で固定する為、慢性的な強い筋緊張と上肢のアライメント問題が生じ(臨床上よく存在する状況として肩関節周囲炎・テニス肘等)すでにRAが発生していれば、生活上頻繁に使用する上肢に疼痛・変形が当初より観察されるもの理解しやすいと、思われます. 以上の状況等、筋骨格系構造的問題を考慮して説明すると理解しやすいと思われます。 〔方法〕 対象患者は、松多内科医院通院中のRA患者の中で、様々な抗リウマチ剤の投与にもかかわらず、長年病状が安定しない、難治性RA患者16名に限定しました。平均年齢64歳、平均罹患年数17年、内1名は罹患より2年なので、難治性患者としては躊躇しましたが、今回は含めました。リウマトイド因子は16名中13名陽性、手のレントゲン写真Steinbrockerでは、11名がステージW、4名がステージV、1名がステージUに分類されます。 治療システムの内容を紹介いたします。 この内、平均的な1例を報告します.S患者 主婦 1929年生まれ、発症1987年 試験開始日1998年5月 状態として 両手の尺側変異 両膝の変形を伴う炎症、特に右膝は定期的に関節貯留液を抜く状態でゆっくりした歩行。 構造的分析としては、両骨盤が後ろに傾き仙骨腸関節部の靭帯が緩く骨盤・腰椎が不安定で大腰筋等が拘縮し、腰が引け頭部・上腕が前方で固定されています. (総括) 筋骨格系構造的問題を改善することは、まさに患者の姿勢等の長年の生活習慣を改善することであり.今回対象者の多くがステージ4の関節を持つ難治性RA患者であり、週1日金曜日のみの日程で患者諸氏の任意で来院していただいた為、治療頻度においても必要と思われる回数が十分とれず、困難を要しました. 以上の条件下においても、現時点では、仮説に矛盾しない結果が出ていると思います.入院中の生活を管理しやすい患者等を対象にし治療頻度を高めて試験を行えばよりよい結果が得られると予測できます。
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